高度に結びついた機器を落雷から保護する為に参考にすべき基本情報を集め、まとめた私の見解です。
Home /内部雷保護 /SPDの性能検討建物の保護レベルに応じて、想定する直撃雷の大きさから機器の保護対策を検討します。
直接の侵入経路は屋外間引き込まれる電線(電源、通信線)、誘導雷の場合には屋内の電線すべて、そして接地線があります。
SPDの雷電流の処理性能は分流を念頭に置いて検討します。
電線に侵入した雷電流は分岐の数に比例して分流するとして考え、分流先に保護対象機器がある場合は分流した雷電流を処理できるSPDを選定します。
例えばメインに100KAの雷電流が侵入し、3系統へ分岐している場合、
一系統に流れ込む雷電流は33.33kA=100kA/3系統と考えます。
一系統当たりの電線が2本の場合、16.6kA=33.33kA/2本となり、これが
SPDに必要とされる処理性能のとなります。
上図の様にメイン棟で受電し、サブ棟設備へ給電しており、サブ棟設備の接地極がメイン棟と異なる場合、落雷等により片方の大地電位が上昇した場合、メイン・サブ棟間の電位差がそのまま、機器筐体に加わり、絶縁破壊の危険性が高まります。雷電流のバイパス経路として電源用SPDを設置することにより、この絶縁破壊を回避できます。このSPDには直撃雷の一部が流れるため、クラスⅠSPDを選定する事が必要です。
表は各相導体への侵入が想定される値を示しており、例えば雷保護レベルⅠの建物引込線への雷放電は10kAとあり、この場所に設置するSPDはクラスⅠでIimp 10kA以上の値を持ち、電圧防護レベルは保護対象の機器の電源電圧を基に判断し選定します。同じ雷保護レベルⅠにおいて引込線・引き込み管近隣への雷放電が5kAとしております。
運用基準ではクラスⅡについては1線あたりの公称放電電流が In 5kA以上としております。クラスⅠSPDについては”特記による”公共建築工事標準仕様書(平成31年度版)、或は”電力線1本当たりに流れると想定される雷電流の値以上のものを選定する建築設備設計基準(平成30年度版)”としており、クラスⅠSPDに必要とされる雷電流処理性能は明記されていません。
表は各相導体への侵入が想定される値を示しており雷保護レベルⅠで直撃雷は2kA, 誘導雷は10kAが侵入が想定される最大値であることが判ります。
建築設備設計基準 (平成30年度版)ではインパルス耐久性(カテゴリC,)2kA以上、インパルス耐久性(カテゴリC)0.5kA以上、また公共設備標準仕様書(平成31年度版)ではインパルス耐久性(カテゴリC2)とし、LAN関連の通信において100A以上、それ以外では2kA以上としています。
建物に応じたSPDの設置の必要性について、公共工事標準仕様書、建築設備設計基準を基にして、設備条件に応じてSPDの設置の必要性と、必要とされる性能について見解をまとめました。
建物の確認ポイント
1.受電方式(高圧受電、低圧引き込み)
2.接地方式(統合接地、個別接地)
3.建屋(受電棟のみ、別棟がある)
各SPDの性能は機器の設置環境に異なり、また保護対象とする機器の重要度に応じても変わってきます。
接地間SPD:個別接地では設置を強く勧めます。
クラスⅠSPD:建物の保護レベルにも依存し一般的な性能を示すことができません。表中の低圧受電は保護レベルⅢとし落雷電流の50%が引き込まれた3本の電線を経由している場合を想定しました。
本Web サイトで示すものは、落雷による機器の破壊を避ける為、機器保護の方法について私的な見解をまとめたものです。内容については最善をつくしましたが、考え違いや見落としがあった場合はご容赦下さい。
また本説明に基づき保護対策を行い、機器及びそれに関連する被害が発生した場合でも、一切の責任を負いませんので、雷保護対策は自己責任で設計し施工してください。