高度に結びついた機器を落雷から保護する為に参考にすべき基本情報を集め、まとめた私の見解です。
Home /内部雷保護 /SPD選定のヒント クラスⅠSPDは直撃雷の侵入が考えられる箇所に設置するのが基本的な考え方であり、施設の条件に応じてクラスⅠSPDを設置するかどうか判断します。
電源を低圧で引き込んでいる施設と高圧受電している施設では直撃雷の侵入の危険性が異なり、クラスⅠSPDを設置すべきかどうかの一つの判断材料になると考えます。
また侵入する直撃雷の大きさを想定することが出来れば、それに見合ったインパルス電流性能のクラスⅠSPDを選定する事が出来ます。JIS C 5381-11等で示される落雷電流の分流の考え方は低圧引き込みの場合のみに適用でき、高圧引き込みの場合には適用できない事に注意してください。
高圧引き込みの施設:受電設備のある建屋のみ:➡クラスⅠSPDは必然ではないと間あげます。
受電設備のある建屋の他に建屋がある(*):➡クラスⅠSPDの設置をお奨めします。
(*)高圧引き込みの建物では避雷針が設置されていると考えられます。
躯体を引き下げ導線としている施設(SPDを設置し、SPDの接地線を躯体に接続する場合)➡クラスⅠSPDの設置をお奨めします。
落雷時に於いても、この建物の電源のB種接地と機器接地の電位差は小さいと考えられますが、別棟に設置されている機器の接地は受電設備のある建屋とは別に機器接地がなされていると考えられ、別棟にある機器の接地電位は電源のB種接地の電位と異なる事が発生する事もあり、この様な施設では両棟の設備にクラスⅠSPDを設置する事が好ましいと考えます。
電源の引き込み方式に応じたSPDの選定についは下記のサイトを参照ください。
電源引き込み方式
通信用SPDの選定は雷電流の処理や電圧防護レベルだけでなく、機器の伝送仕様を満たす製品を選定します。
信号が伝達されなければ、いくらSPDの性能が優れていても通信回路に設置する事はできません。
機器によっては、信号レベルや通信速度が公の規格で示される最大値よりも低い電圧、遅い通信速度で運用されている事もあり、保護対象機器の通信仕様に沿ってSPDを選定すると、より的確な製品が選定が出来ます。
デカップリング素子(抵抗値、インダクタンスなど)が伝送特性に影響を与えない事を確認する為、機器メーカに通信仕様を直接確認し、さらに実際にSPDを取り付けて実験してみるのが確実性のある方法と言えます。また通信仕様だけでなく、コネクター形状も確認して下さい。
信号レベル自体が通信信号である回路:
・計装信号でよく用いられるアナログ信号 0-5V, 4-20mA等
デジタル信号:
・RS-232C, RS-485、LAN等(通信速度や信号電圧は規格により大きく異なります)
制御信号:
・リレ-等のOn/Off回路(制御信号は機器の電源や通信回路ををOn/Offする回路であり、電源用SPDを設置します。)
多くの通信用SPDには、雷サージが直接、機器に伝達しないようにして保護効果を高める為に、デカップリング素子が組み込まれており、デカップリング素子が抵抗も場合には信号レベルの低下、インダクタンスの場合には信号のひずみ、遅れが生じます。
選定にあたってはこれらが信号に悪影響を与えない事を
確認する必要があります。また多くの通信用SPDでは大きな雷電流を処理する前段部、デカップリング素子を挟んで、電圧を精密の制御する後段部で構成されており、この様なSPDでは機器を後段部側に接続する必要があります。
本Web サイトで示すものは、落雷による機器の破壊を避ける為、機器保護の方法について私的な見解をまとめたものです。内容については最善をつくしましたが、考え違いや見落としがあった場合はご容赦下さい。
また本説明に基づき保護対策を行い、機器及びそれに関連する被害が発生した場合でも、一切の責任を負いませんので、雷保護対策は自己責任で設計し施工してください。