高度に結びついた機器を落雷から保護する為に参考にすべき基本情報を集め、まとめた私の見解です。
Home /雷保護の基本 /落雷のリスク対策自然を相手とするため100%確実な対策はなく、また無防備では落雷による被害も恐ろしく、どの程度まで保護対策を施工したら良いか明確に判断することは困難ですが、次の点を考えて対策を検討する事をお薦めします。
・100%確実な保護対策はない事を意識する
落雷は自然現象であり過去のデータよりも大きな落雷が、多い頻度で発生する可能性がある事を意識します。
・落雷の大きさ、経路を検討する
JISや気象庁等のデータに基づき、施設の地域や墓所から想定される落雷や侵入が想定される雷電流の大きさ、及び経路を検討しす。
・落雷被害を想定し保護機器を検討する
落雷被害にあった時の状況を想定(生産が停止、或は通信が遮断される状況か、或は機器の故障の影響は限定的か?)し保護すべき機器を選定します。
・設計図面等に指示がある場合は、設計者と相談する
図面に書かれた保護対策の仕様は、建物大きさや重要度に関係なく一律に決められている場合もあり、対象の建物に対しては過剰対策ではないか検討します。
・費用対効果を意識する
想定される被害を考え、保護する機器を絞り費用を削減します。JISやそれに基づく基準は、それ自体安全率を見たものですが、自然現象を相手とするため、過去のデータに基づく範囲に収まらない場合もあります。一方、過大に安全対策を取ると、過大な費用が発生する可能性があり、リスクと保護効果・費用を常に頭に置いて、保護対策を考え施工する事をお薦めします。
・設計図面等に指示がない場合は、JIS等の規格や運用基準の考え方に基きSPDを設置します。
雷電流により生じた高電圧が絶縁耐量を超えると、絶縁破壊し機器を焼損させます。落雷電流はkA単位、時には数100kAと大きなものであり、これに耐える絶縁耐量を持たせ雷保護を行うのは容易ではありません。雷電流を熱に変えて消費する方法は、雷電流があまりに大きく現実的ではありません。
被害が少なくなる場所へ雷電流を流して対処する方法が、現在主流の考え方です。
通常はハイインピ-ダンス状態となっており、雷電流のバイパス経路をふさぎ、雷電流が侵入してきた時のみインピ-ダンスが小さくなり、経路を開け雷電流が機器へ流れ込まないようにします。
このような機能を持ったものがSPD(サ-ジ・プロテクティブ・デバイス)と呼ばれるものです。
代表的な素子としては
Gap:
電極間の電圧が所定の電圧以上になると放電し電流を流します。
バリスタ:
端子間の電圧が高くなるとデバイスのインピーダンスが非線形に小さく成り、高電圧ほど大きな電流を流します。
定電圧ダイオ-ド:
端子間の電圧が素子毎に設計された値以上にならないよう制御します。
定電圧ダイオ-ドは大電流を流せないため、一般に低電圧回路(通信用)に用いられます。
機器には電源線、通信線、接地線など機器に応じていろいろな線が接続されています。何処かの線に雷電流が侵入するとその線とその他の線の間に電位差が生じ、その値が大きく成ると絶縁破壊となり機器を焼損させます。
この電位差をなくす事を「等電位ボンディング」と言います。
接地電位をなくすために機器の接地線を太い接地バ-に接続する事も等電位ボンディングです。電源線や通信線と接地線は直接接続できないため、SPDを接続し 通常ハイインピーダンス状態に保ち、大きな電位差が発生した時のみ、各線間の電位差を減少させ絶縁破壊から機器を保護します。
本Web サイトで示すものは、落雷による機器の破壊を避ける為、機器保護の方法について私的な見解をまとめたものです。内容については最善をつくしましたが、考え違いや見落としがあった場合はご容赦下さい。
また本説明に基づき保護対策を行い、機器及びそれに関連する被害が発生した場合でも、一切の責任を負いませんので、雷保護対策は自己責任で設計し施工してください。